誰もが、いつかは親の世話をする時が来るかもしれない。そしてその時まで気づかないのが、その世話をするという仕事の深さです。祖父が亡くなる少し前、私は初めてそのことを理解しました。
今、私がスパークルキャリアという会社を通じて介護・福祉業界の転職支援をしているのは、その経験があるからです。この記事では、祖父の最期を看取った時に感じたことと、それが私たちの仕事にどうつながっているのかをお伝えしたいと思います。
島根から大阪へ——ひとつの家族の物語
私の祖父は島根県出身でした。農村で生まれ育った祖父は、労働力が必要だった時代に、肉体労働によって家族を支えてきた人です。その中で、うちの父を大阪の大学へ送りました。
父が大阪へ出た理由は、当時としてはめずらしい決断でした。しかし祖父は、自分の人生で学んだことよりも、子どもの可能性を信じた。だから、稼いだお金を息子の教育に投じた。その決断があったからこそ、父は大阪で新しい人生を歩むことになったのです。
そして大阪で、父は母と出会いました。二人が結婚して、私が生まれた。祖父の決断がなければ、今の自分は存在していません。
祖父から父へ、父から自分へ——人の人生は、バトンのように世代から世代へつながっていく。
年をとった祖父と祖母は、最後には京都を経て、大阪の特別養護老人ホームへ移ることになりました。その施設は本当に良い場所でした。祖母が「まるでホテルみたいね」と言ったほど、素敵な環境だったのです。
最期の時間を、共に過ごしてくれた人たち
祖父の最期が近づいた時、私は施設を訪れました。そこで、祖父の手を握っていたのです。その時間は、言葉では表現できないほど深いものでした。
しかし、その深さを感じさせてくれたのは、祖父のそばにいた介護職の皆さんでした。彼らは、祖父が最期を迎える時間を、どれだけ穏やかに、どれだけ尊厳を持って過ごせるかを考えていました。特に何かをしていたわけではないのです。ただ、そこにいる。祖父の側で、祖父の人生の最後を共に過ごしている——その存在そのものが、どれだけ大きな力になっていることか。
祖父の状態が悪くなると、介護職の皆さんはすぐに気づいていました。家族よりも、医師よりも、祖父の細かな変化を察知していた。それは、毎日、この人の側にいるからこそできることなのです。
✦ 介護職がしていた3つのこと
1. 気づく——一人ひとりの変化を敏感に察知する
祖父の体温、呼吸、表情——毎日の関わりの中から、他の誰にも気づけないサインを読み取っていました。
2. 寄り添う——その人の人生の最後を尊重する
「死に方」まで支える職業は、介護職くらいではないでしょうか。その人がどう在りたいか、どう生きたいかを支えます。
3. つなぐ——家族と、その人と、その人生と
医学的な「生存」ではなく、「その人の人生の続き」を支える。家族の歴史と、その人の時間をつなぎます。
祖父が亡くなった後、父は言いました。「本当に穏やかな最期だった」と。それは、苦しみがなかったという意味ではなく、祖父が最期まで「人として、大事にされていた」と感じられたからではないでしょうか。
人の人生を支えるという、尊い仕事
介護職の仕事は、一般的には「大変な仕事」「給与が低い」「体が疲れる」というイメージで語られることが多いです。そうした側面は、確かに存在します。
しかし同時に、介護職は「人の人生そのものを支える」という、これ以上ない尊い仕事なのです。単に身体的なケアをするだけではなく、その人の最後の時間を、その人らしく過ごさせてあげる。その人の尊厳を守る。その人と家族のつながりを支える——こうした役割を担っているのです。
祖父が島根で生まれ、父が大阪で新しい人生を歩み、私が今ここにいる。そのバトンがつながった背景には、祖父を最期まで支えてくれた介護職の皆さんがいました。彼らがいなければ、祖父の人生は完結しなかったし、父が「穏やかな最期だった」と感じることもなかったでしょう。
介護職は、人の命と人生を次へつなぐ仕事。それは、誰かの「なぜ生きるのか」という問いに、最も深い答えを与える職業なのです。
「いのちのきらめきを引き出す」ということ
スパークルキャリアの理念は「いのちのきらめきを引き出す」です。これは、単に就職をサポートすることではありません。
祖父の最期の時間を見ていて感じたのは、人のきらめきとは、成功や実績ではないということです。それは、その人がどの瞬間まで「その人として」在ることができるか、ということなのです。
介護職に携わる皆さんは、利用者さんのそうした「きらめき」を毎日、引き出しているのです。苦しい時間の中でも、その人の尊厳を守り、その人らしさを保つことを支えている。それは、並大抵のことではありません。
しかし同時に、そうした尊い仕事に就いている皆さんの多くが、今の環境や人間関係に苦しんでいるという現実もあります。低い給与。強いストレス。やりがいと現実のギャップ。転職を考えるのは、自然なことだと思います。
✦ 私たちが転職支援をする理由
スパークルキャリアが目指すのは、介護職の皆さんが「いのちのきらめきを引き出す」という尊い仕事を、その人らしく継続できる環境を整えることです。
給与が上がっても、人間関係が変わっても、本当に大事なのは「その仕事を通じて、自分のきらめきが輝いているか」ということではないでしょうか。
私たちは、単に「求人を紹介する」のではなく、皆さんが「本当に働きたい場所」「本当に大事にしたいキャリア」を見つけるお手伝いをしたいのです。
次のバトンへ
祖父から父へ、父から自分へと続いたバトンは、決して断絶するものではありません。私たちが今、どう在るか、どう生きるかは、次の世代へも影響を与えます。
介護職として働く皆さんの人生も、同じです。利用者さんの人生をサポートするその過程の中で、皆さん自身の人生も輝いている。その輝きは、それを見ている家族や周囲へも伝わっていく。そして、いつか誰かの「人生のお手本」になるのです。
転職を考える時、環境や条件は確かに大事です。しかし同時に、「自分は何のために、この仕事がしたいのか」という根源的な問いに向き合うことも大切です。その問いの答えが見えた時、初めて「本当に行くべき場所」が見えるのです。
スパークルキャリアは、そうした皆さんの問いに、一緒に向き合いたい。皆さんの人生のバトンを、ともに考えるパートナーでありたい。祖父を支えてくれた介護職の皆さんへの感謝の気持ちと、これからの介護業界を支える皆さんへの期待を込めて。