企業文化とは何か。オフィスの設えか。制度や福利厚生か。研修やマニュアルか。それとも理念として掲げた言葉か。

多くの企業が「企業文化の構築」に時間をかけます。しかし、スパークルキャリアの場合、文化は「仕組み」からは生まれませんでした。生まれたのは、一人の人間の本気の姿勢からです。

「何をするか」ではなく「誰と働くか」

スパークルキャリア創業初期のこと。一人の男性が面接に来ました。彼の面接での言葉は忘れられません。

「僕は何をするかより、誰と働くかが大事です。給料や条件よりも、この人たちと一緒に仕事をしたいと思える仲間を求めています。」

その時のスパークルキャリアは、本当に何もない時代でした。オフィスも、施設も、スタッフも。経営も不安定で、先も見えない。給料だって十分ではない。それなのに彼は、その条件を承知で、「誰と働くか」を重視すると言ったのです。

その時点では、私たちは単なる「介護求人紹介会社」の創業者と社員という関係に過ぎませんでした。しかし、その言葉を聞いた瞬間、何かが変わりました。

本気の心は、言葉ではなく「行動」で伝わる

彼がスパークルキャリアに入社してから、驚くべき変化が起きました。

彼は、毎日、一件一件の相談に全力で向き合いました。求職者が悩んでいる時間、迷っている時間、考えている時間——全部に付き合いました。給料や時間に見合わない仕事も、平気でしました。なぜなら、その求職者の人生が前に進むことが、全てだったからです。

ある時、彼は面談中に涙を流しました。求職者の人生がようやく動き始めたこと、その人の顔が明るくなったこと、それを見て、心の底から嬉しかったのです。その時の彼の涙は、決してパフォーマンスではなく、本当にその人のことを想っていた証でした。

本気は、言葉では伝わりません。行動と、その背後にある心から、初めて伝わるのです。

その彼の姿を見ていて、私は気づきました。「スパークルキャリアってこういう会社なんだ」と。オフィスの設えでもなく、制度でもなく、理念の言葉でもなく、一人の人間が、本気で求職者の人生に向き合う姿勢。それが、会社の文化だったのです。

システムではなく「人の本気」が組織をつくる

その後、スパークルキャリアは少しずつ成長しました。スタッフが増え、オフィスも広がり、制度も整い、理念も言葉で掲げるようになりました。しかし、何が変わらなかったか——それは、その初期メンバーの「本気の姿勢」です。

新しく入るスタッフも、その人の姿勢を見ます。「この人たちは、本気で求職者のことを想っているんだ」ということが、言葉ではなく、行動で伝わります。その伝わり方は、どんな研修よりも、どんなマニュアルよりも、強いのです。

✦ 企業文化を形成する3つの要素

1. 本気の行動——相手の人生に本当に向き合う姿勢
何のために働くのか。その答えが、毎日の行動に表れる。その行動を見て、周囲も「自分たちも本気で向き合おう」と気づく。

2. 人的魅力——「この人たちと働きたい」という想い
給料や条件よりも、一緒に働く人を選ぶ。その選択が、組織に同じ価値観を持つ人を呼び寄せる。

3. 無言の伝承——行動から学ぶ、言葉ではない学習
研修やマニュアルではなく、先輩の姿勢から学ぶ。その学習こそが、本当の文化を作り上げるのです。

介護・福祉の現場では、「これが正解」という決まった答えはありません。利用者さんも、その人ごとに異なる。その中で、「どう在るべきか」という問いに答えるのは、システムではなく「人」です。

だからこそ、企業文化も「人の本気」からしか生まれないのです。その人がどのような価値観を持ち、何を大切にし、どのように相手に向き合うのか——その行動の積み重ねが、組織全体の文化となります。

本気の人は、本気の人を呼ぶ

興味深いことに、一人の本気の人が入社したことで、スパークルキャリアには同じような本気を持つ人たちが集まるようになりました。

本気の姿勢を持つ人は、本気ではない会社には入りません。逆に、本気で相手に向き合う会社だとわかると、その姿勢に共感する人が集まります。採用面接で「給料はいくらですか」と聞く人よりも、「この会社は何を大切にしているんですか」と聞く人が多くなった。その転換点が、あのスタッフの入社だったのです。

つまり、企業文化とは「作るもの」ではなく「現れるもの」なのです。それは、組織に属する人たちの本気の姿勢から、自然と現れてくるものなのです。

「いのちのきらめきを引き出す」という理念の根底にあるもの

スパークルキャリアの理念は「いのちのきらめきを引き出す」です。この言葉が象徴しているのは、何もシステムや施設ではありません。

それは「人の本気が、相手の可能性を引き出す」ということです。一人の人間が、本気で相手に向き合う時、相手の中に眠っていた力や想いが目覚める。その時の瞬間の明るさ、その人の人生が動き始める時の輝き——それを「いのちのきらめき」と呼んでいるのです。

企業文化は、制度ではなく「人」からしか生まれません。

私たちが学んだのは、シンプルでありながら、多くの企業が見落としている真実です。立派な理念も、充実した制度も、整ったオフィスも、必要かもしれません。しかし、それらは全て、「本気で相手に向き合う人」が存在してこそ、初めて意味を持つのです。

組織を作る上で、最も重要な資産は、その会社に属する人たちの心です。その心が本気で相手に向き合う時、企業文化は自然と形成されるのです。